2013年7月30日火曜日

天才も、裏から見たら、クレイジー。

先日、パリ市内のカフェで読書をしていました。

天気のいい日にカフェのテラスで渋めのコーヒーを啜りながら本の世界に入る。

至福のひと時です。

「パリのカフェ」という響きが、この単なる暇つぶしにお洒落な色を与えてくれます。


そろそろ帰ろうかとお金をテーブルに置いたその時でした。

いきなり日本人男性が僕に話しかけてきました。

「あの~すいません…」

道でも聞かれるのかなと思いました。すると…

「もしよかったら、一緒に一杯飲みに行きませんか?」

「え???僕と???」

見ず知らずの男の人からいきなり飲みに誘われる…そんなことあります?笑

とはいえ断る理由もないし、何ならちょっと飲みたかったので、お供させていただくことにしました。

お名前は出していいのかわからないのでTさんとしておきましょう。

Tさんは、スイスのジュネーブに在住だそうで、この日はパリにある日本の眼鏡店「パリミキ」(メガネの三城のパリ支店)にメガネを買いに、そのためだけにわざわざスイスから来られたそうです。

夕食は日本食が食べたいということで、うどんとラーメンをはしごしたそうです。

食いしん坊万歳\(^o^)/

僕に声をかける前に、他のカフェに一人でいてた女の子に目をつけていたらしいのですが、あいにく逃げられてしまったそうです。

逃した魚は大きいですね。まぐろを釣るつもりが、たこ釣っちゃったぐらいな感じでしょうか。

ジュネーブの研究機関で「素粒子」の研究をしてらっしゃるというTさんに、素粒子とは一体何なのかと尋ねました。

Tさんはおそらくかなりわかりやすく説明して下さったのでしょうが、僕のちっぽけな頭脳では全然理解できませんでした。

Tさんはこう言いました。「この宇宙のことは全て数式で説明ができるんです」と。

「この人、頭が良すぎて逆にクレイジーやな」と思いました。

そういえば、、フランスでは、「日本人ってすごい真面目で頭もいいけど、飲んだりしたらすっごいクレイジーなんだろ?」ってよく聞かれます。

そのたびに、肯定したくはないけど、否定もできないもどかしさに襲われます。

なので、「馬鹿と天才は紙一重って言うやろ?」と答えています。

それはさておき、Tさんとは、海外で生きている日本人同士、共通していることも多くて色々な話で盛り上がりました。

そうこうしているうちに、いつの間にか空は真っ暗で、綺麗な月が浮いていました。

僕の終電の時間が近いので、最後に連絡先を交換してTさんとはここでお別れ。

いつかスイスに行った際はTさんが案内してくださるそうです。

ただ、Tさんのお話を聞く限り、スイスはめちゃくちゃ物価が高いそうなので、たぶん行きません(笑)

でもいつか、お金ができたら旅行にでも行きたいと思います。

Tさんには、その時までに、新しい素粒子ではなく、お馬鹿な僕でも素粒子を理解できる方法を発見しておいていただきたいと思います。

さて、終電に間に合わせるため、駅までの道を急ぎます。

駅に着いて、階段を駆け下り、ホームに出たら…

乗るはずの終電の列車の一番後ろの車両が目に入りすぐに消えていきました。

山田、終電を逃す。

まぁよくある話です。

ここが日本であれば、ネットカフェに入れば朝まで寝るなり、ネットするなり、漫画を読むなりできるのですが、ここはフランス。

ネットカフェはもちろん、24時間やってる白木屋も、マクドナルドも、吉野家も、ローソンもありません。

そんな都合のいい場所を探してたら、見つける前にお日様が顔を出します。

というわけで、せっかくの機会なので、夜のパリを散歩してみることにしました。

歩き始めて15分。早速、酔っ払いに絡まれました。

「ヘーーーーイ!」と馴れ馴れしく近づいてきた外国人だと思われるその酔っ払いは、

「ユーノー?アイムクレイジー!!」って言われたから、

んなもん見たらわかるわと思いつつ、「イエス!!」って言うておきました。

すると酔っ払いが「アンデュー?ユーアークレイジー?」って聞いてきたので…

日本人が何でもかんでもイエスイエス言うて、ノーとは言わへんと思ったら大間違いや!

日本人やって言う時は言うんや!!という感情を込めて、「ノー!!」と言ってやりましたよ。

すると酔っ払いは、ちょっと大人しくなって「オー、ユーアージェントルメーン」と言うてくれました。

支離滅裂。

飲んでクレイジーになるのは何も日本人だけではない、と確信しました。

さて、そんなクレイジーな酔っ払いは放っておいて、僕は歩き続けました。

オペラ→シャトレ→サンミシェル→マビヨン→サンジェルマンデプレ→セーヌ川→オルセー→アンヴァリッド→アルマ橋→ジョルジュサンク→シャンゼリゼ通り→コンコルド→ピラミッド→オペラ。

パリに来たことがある方なら、僕がどれだけの距離を歩いたかわかっていただけるのではないでしょうか。

終電がなくなった1時から始発が来る5時まで、4時間歩き続けました。

ちなみに、朝4時のシャンゼリゼはこんな感じ。


とはいえ、夜のパリはクレイジーな輩がどこに潜んでいるかわかりませんので、みなさんは決してマネしないようにお願いします。

歩いている間は全く眠気はなかったのですが、電車に乗ると安心したのか途中で寝てしまい、降りるはずの駅を乗り過ごし、なかなか家に帰してもらえず…。

やっと家にたどり着いて、ベッドにごろーんと横になった時、なんとも言えない幸せを感じました。

なんちゅう一日や…。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年7月20日土曜日

土の下、見えない根っこが、支える誇り。

先日、電車に乗ると、こんな落書きが目に飛び込んできました。


"Un peuple sans la connaissance de son passée et de sa culture est comme un arbre sans racine..."

「自分の国の歴史、文化を知らない者は、根っこのない木と同じである…」

まさにその通りやなと。

電車に落書きするような悪ガキもなかなかええこと書くやんと思いました。

歴史というのは、人々がどのようにその国を創ってきたのかという物語です。

その中で、文化という平和的な要素が創られていきます。

そして、その国の歴史、文化の出発地点であり、根っこの先の部分が建国ということになります。

皆さんは日本の建国について知っていますか?

日本の建国については以前にもこのブログで書かせていただきました。

まだご覧になっていない方は以下のリンクからどうぞ。
http://takeshi-yamada.blogspot.fr/2013/02/blog-post_12.html


さて、今回はフランスの建国にまつわるお話です。

7月14日。

この日はフランス人にとって最も大切な祝日、革命記念日でした。

1789年の7月14日のバスティーユ牢獄襲撃を発端に始まったフランス革命によって、

民衆を苦しめていた王政が民衆の手によって廃止され、

世界で初めての民主主義国家であるフランス共和国が建国されました。

つまり7月14日はフランスの革命記念日であり、建国記念日でもあるのです。

この日、フランス各地で行われるイベントは、日本ではパリ祭と呼ばれていますが(※1930年代にヒットした映画の邦題の影響)、

フランスでは単にキャトーズ・ジュイエ(7月14日の意)と呼ばれます。

特にパリのイベントは有名だということで、ギヨームと一緒に行ってきました。


まずは午前中のシャンゼリゼ通りでの軍事パレード。

シャンゼリゼ通りの端から端まで、つまり凱旋門からコンコルド広場(フランス革命でルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された広場)に向かって、

警察、消防隊、軍隊(海軍、陸軍、空軍)などが行進します。




本来ならパトルイユ・ド・フランスという空軍のアクロバットチームによる航空ショーが見れたのですが、僕が寝坊したせいで間に合いませんでした…。

僕が到着する5分前に終わったようです。

軍事パレードの後はアンヴァリッドへ行ってみました。


ここは廃兵院といって、戦争などで負傷した兵士を看護する目的で建設された施設で、

現在は軍事博物館となっていて、地下にはナポレオンをはじめとするフランスの著名な将軍の棺が安置されています。

シャンゼリゼ通りでの軍事パレードを終えた戦車などがここに集結していました。

各軍隊の兵士もたくさんいて、彼らの体格ががっしりしているのは当然なのですが、

何よりも目つきが一般の人とはどこか違うなという印象を受けました。

フランス軍の兵士は約43万人で、日本の自衛隊員24万人と比べるといかに大きな軍隊であるかがわかります(※フランスの総人口は日本の約2分の1)。

シャンゼリゼ通りで喝采を受ける戦車や、アンヴァリッドですれ違った兵士を見ながら、

軍隊を持つとはどういうことなのか、その意味は何なのか、と少しばかり考えさせられました。


さて続いては、シャン・ド・マルスというエッフェル塔の裏にある大きな公園へ。

ここで19時からイベントがあるということで、のんびりその時を待ちました。

しかし、あまりにも暇なので、横で楽しそうにトランプゲームをしていた見知らぬ男女4人組にお願いをして、混ぜてもらいました。

人見知りの僕は「嫌や」って言ったんですが、ギヨームはどうしてもトランプがしたかったらしく…

「僕たちも混ぜてくれない?」って声をかけたギヨームに、その男女も迷うことなく「いいよ!」って。

さすがフランス人。

こういう見知らぬ人にでもすぐに声をかけて仲良くなれるのは、やはりフランス人のいいところだなと思います。

「ケムズ」っていう知らなかった新たなゲームを教えてもらいました。

面白かったので、日本に帰ったら流行らせたいと思います。

今後一年以内に、新しいトランプゲームが巷で流行っていたら、僕が仕掛け人やと思ってください。

さて、そうこうしているうちに19時になり、イベントが始まりました。

ここでのイベントとは、エッフェル塔をバックにしての無料コンサート。

毎年、豪華なアーティストが集まるそうなのですが、今年はクラシックコンサート。

なんでも20万人が集まったそうです。



まずはフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」をクラシック調で。

ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)とは「マルセイユの人々」という意味で、

元はフランス革命の際に南仏マルセイユからパリへ向かう義勇兵たちが歌っていたものです。

全員が起立し、誇り高く声高らかに熱唱していました。

さすがフランス人。

僕は、歌詞が少ししかわからないので、ララララ~♪って歌ってるフリしときました。

その後は、クラシックの曲ばかりでしたが、僕でも聴いたことがあるような曲ばかりで、

クラシックをあまり知らない人でも楽しめるようになっていました。

一緒にトランプをしてくれた女の子たちがきゃあきゃあ騒いでいたので、

隣にいた静かに聴きたいクラシック通らしいおじさんに「30秒ぐらい静かにしてくれよ!」と怒られてしまいました。

彼女たちは怒られて一瞬しょぼんとしたものの、計ってたかのように30秒後にはまた騒いでいました。

さすがフランス人。

コンサートが終わると、エッフェル塔のライトはもちろん、周りの照明が全て消え、真っ暗になりました。

そこへ…

「ひゅーーーーーーーっどーーーんっ!!!」と、エッフェル塔の向こうに花火が上がりました。

そう、このイベントのメインはこの花火なんです!





花火自体は日本のものと比べたら大したことなかったんですが、

やっぱりこのエッフェル塔をバックにするとすごく絵になって綺麗でした。

花火に合わせて様々なイルミネーションで姿を変えるエッフェル塔の存在感は圧巻で、

たぶん他のタワーじゃこうも美しくは映えないだろうなと思います。

また、フランスの花火は、大音量の音楽に合わせて打ち上げられるので、

日本の花火とはまた違った感覚を味わうことが出来ました。


今回、このキャトーズ・ジュイエのイベントを通して、フランス人の「誇り」を感じる事ができました。

はじめにも書きましたが、フランスは王様や政治家ではなく、革命によって国民が自分たちの手で創った国です。

それが彼らの国に対する誇りとなっているように思います。

国に対する「誇り」とは、その歴史、文化を知り、国を想うことで芽生える感情なのだと思うし、

国を想うことは、自分の街を想うことであり、自分の家族を想うことでもあると僕は思います。

また、フランス人は今でも自分たちの手で国を変えれることを知っているし、自分たちこそが国を創っているのだと知っています。

民主主義国家においては国は政治家が創っているわけではありません。

国を創っているのは国民です。

もちろんそれは日本だって同じです。

では、私たちがどうやって国を創っているか…それは選挙です。

選挙に行くという事は、すなわち国創りに参加するということです。

私たちは、自分たちで自分たちの国を創っていくために、

日本をこれからどういった国にしていきたいのか、

選挙において政党や政治家に投票することでその意思を表明しなければなりません。

もちろん、私たちのその声が国創りに反映されるためには、

私利私欲を捨てて公の為に務めてくれる政治家が国会に送られなければなりませんが…。

ということで、みなさん、7月21日(日)は選挙に行きましょう!

PS。回し者でも何でもありません(笑)


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年7月12日金曜日

遠くまで、くまなく探せど、くまは出ず。

先週の土曜日に「ジャパンエキスポ」に行ってきました。

日本の文化、特に漫画やアニメなどを紹介する展覧会として、日本でも度々テレビなどで報道されて有名となっているこのイベント。

会場であるパリ郊外、シャルル・ド・ゴール国際空港近くのヴィルパント国際展示場に向かうために電車に乗ると、すでにアニメのキャラクターのコスプレをした人がいっぱいいて、気づいたらピカチュウとルフィに囲まれていました。

会場に到着すると、入場待ちの長蛇の列が…列に並んで待っている間にも、周りにいるキャラクターたちに目が行き、まるでアニメの世界にいるような変な感じでした。

フランス人はそもそもコスプレ好きで、それぞれが自作(?)の衣装や道具で身を纏い、お気に入りのキャラクターに扮していました。

30、40分ほどかけてやっと会場内に入ることが出来ましたが…特に何か目当てがあったわけでもなかったので、どこに行ったらいいのかわからず、とりあえずブラブラ。


まずは熊本県のゆるキャラ「くまもん」のブースを発見。


ブースにいたスタッフのお姉さんに「くまもんはどこにいるんですか?」って聞いたら、

「さっきここにいたんですけど、もう帰っちゃいました!」と言われました。

「えぇぇぇーーー!?まじで!?」

「でも会場内を探せばどこかにいるかもしれませんよ。探してみてください。」

この馬鹿でかい会場の中で、数万体のキャラクターの中からくまもんを見つけるのは至難の業ですが、せっかくなのでくまもん探しに出かけました…。

だって、くまもんに会いたいもん。


さて、こいつらは…


違う…マリオの体型はくまもんと似てるけど、違う。

っていうかこいつら本家のキャラクター以上にキャラが濃いわ!



あれ?赤いほっぺのキャラクターがプリクラの列に並んでる…


違う…あれピカチュウやん。

それにしてもプリクラすごい並んでるなぁ。

パリの街にもプリクラの機械置いたら流行るやろうなぁ。


流行といえば、フランスでも大人気のワンピース。


「俺たちワンピース(ひとつなぎの大秘宝)を探しに旅に出るんだ!」

頑張ってください。僕はくまもんを探しています。


おや?あれはもしかして…


いや違う…ドラえもんやん。「-もん」の元祖やん!

ブース全然人おらんし…ジャン・レノ連れて来たらよかったのに。


あ!僕が大好きなもののけ姫のサンを発見!


サン、めっちゃかわいいやん。

「サーン!サンはどこだぁー!?」

あ、違う違う…。

「くまもーん!くまもんはどこだぁー!?」


そんな時、「さっきあそこにゆるキャラがいたよ」との有力情報が!

行ってみると…


くまもんちゃうやん、ひこにゃんやん!

それにしても、ひこにゃんは人だかりができる大人気。


ひこにゃんとナルト少年のご対面。

おそらくここでしか見れない組み合わせ。

ひこにゃんに会えたからくまもんはもうええや…。

だってお腹空いたんやもん。

散々歩きまわってお腹がペコペコ…というわけで飲食ブースへ。

しかし、来場者数と飲食ブースの数に大きな開きがあり、どこのお店も大行列。

結局、列に並んでからたこ焼きにありつくまで1時間以上かかりました。


1時間並んで、しかも1年ぶりのたこ焼き…めっちゃ美味しかった。

腹ごしらえしたところで、もうちょっとブラブラしてみることにしました。

漫画、アニメ以外にも、テレビゲーム、メイド喫茶、バイク、日本酒、和菓子、書道、畳、剣道、弓道、合気道などの体験コーナー…などなど様々なジャンルのブースが立ち並んでいました。

色々なブースがあった中で、一番おもしろいと思ったのがこれ!


ニコニコ生放送の「超 歌ってみたのど自慢ステージ」。

素人がステージに上がってカラオケを披露し、それがニコニコ生放送を通して世界中に流れる、という企画。

ちなみにこの写真の男性は、アジア系フランス人でしたが、歌はあまりお上手ではないようで、

画面上には辛辣なコメントがずらり。

日本のネットユーザーは手厳しいですね。

それにもめげずに、彼はアニメソング(?)を気持ちよさそうに歌っていました。


結局、最後までくまもんには会えませんでしたが、なかなか面白いイベントでした。

来場者数は4日間で約20万人だそうで、さらにその8~9割はフランス人でした。

(ブーススタッフ以外は)日本人とはほとんどすれ違うこともありませんでした。

フランスでの日本の漫画やアニメの人気は本当にすごいなと感心しました。

僕は、世界中の人たちに、もっと日本の文化や歴史、もっと言えば日本人の精神を知ってもらいたいと思っています。

フランス人はもちろん世界中の国の人たちにとって、日本という国はいまだに「未知の国」です。

そんな中で、漫画やアニメが、その「未知の国」を知るきっかけになっていると感じます。

漫画でもアニメでもゲームでも音楽でも日本食でも入口は何でもいいんです。

何でもいいからまずは日本について興味を持ってもらって、そこから「日本のことをもっと知りたい」とか「日本に行ってみたい」という人が増えれば嬉しいなと思います。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年7月6日土曜日

風強し、華の都で、珍道中。

いきなりですが問題です。

これは誰でしょう?


正解は…

右から、母(たまき)、妹(まさこ)、妹の友達(かなこちゃん)です。

3人でパリに遊びに来てくれました。

っていうかもう2か月前の5月の話なんですが。

ちょうど5月の復活祭のバカンス時期に来てくれたので、僕も休みを取りやすく、

10日間、ご一行の案内をさせていただきました。

10日間の滞在で、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通り、モンマルトル、ノートルダム寺院、

ルーブル美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、リュクサンブール公園、

ブローニュの森、ヴェルサイユ宮殿、モンサンミシェル…

もう行くとこがないほどパリを連れまわした結果、さすがのおかんもこうなりました(笑)


妹は一度フランスに来たことがあったのですが、おかんはこれが初の海外。

普段からテンション高め血圧高めなのに、今回はいつも以上にテンションが高かったおかん。

今回の滞在中のおかんの言動で一番驚いたのは、

ある風が強い日に、いきなり…

「風が強い。風が強し。風がツヨシ君!!あ~風がツヨシ君だわ。」と言い出したことです。

それに対して、もはや誰もツッコむ術を知りませんでした。

最近のイチオシらしく、10日間で3回はこれ言うてました。

相変わらずうちのおかんは最強だなと思いました。

忙しない日本の日々を離れ、のんびりとしたフランスで新鮮な日々を送っていましたが、

ある日、事件はいきなり起こりました。

とある広場のイスに座って、のんびりとパリの雰囲気を味わっていた時です。

いきなり12歳前後の子供たち7、8人がやって来て僕らを囲みました。

そして、英語で「署名をください」と言ってたかるのです。

これは、パリではよくある悪ガキどもの署名活動を装ったひったくり手段で、

署名をすると、今度は募金をしてくれと言う。

もちろんこの募金のお金は彼らの懐に入るのですが、

彼らの本当の目的は、署名でも募金でもなく、

気をそらせておいてカバンやポケットから金品をひったくることなのです。

もちろん僕はそれを知っていたので、立ち上がってあっちへ行けと怒鳴りました。

悪ガキを追い払った2、3分後、いきなり妹が立ち上がってこう言いました。

「iPhoneがない!!」

よくよく聞くと、あの悪ガキどもが来るまでは手に持っていたらしく、

おそらく、急に大勢の子供が来て話しかけてきたので、そっちに気をとられてしまい、

手からスルッと奪われたか、イスに置いたところを盗られたようです。

あちこち探し回りましたが…


もちろんこんなところにはない。

iPhoneを盗られた怒りに身を任せ、そして今度こそは悪ガキに勝てるようにと、

妹はボクシングの練習を始めました。


僕は、今後一切、妹には盾突けないことを悟りました。

ちなみに彼女を調教しているのは、アレックス。

僕が10年前にフランスでサッカーをしていた時のチームスタッフで、

それ以来僕を家族のように扱ってくれているフィリップ&ファビエンヌ夫妻の次男坊。

アレックスはつまりフランスでの僕の弟のような存在です。

今回は、おかんと妹を、フランスの僕の家族にも会わせる事が出来ました。


フランスのお母さんであるファビエンヌと本物のおかんの対面。

母が2人いるような変な感覚でしたが、

二人が抱き合い涙した場面では、僕も少しうるっとしてしまいました。


この写真、おかんがもはやダチョウ倶楽部のように見えてきました。


僕は、本当に周りの色んな人に助けられ、愛され、生かされてきました。

そんな僕の愛する方々と、僕を大きな愛で育ててくれたおかんを会わせることができたのは、

本当に幸せの一言に尽きます。

今回の滞在で、今まで散々世話や苦労ばかりかけてきたおかんに、

親孝行とまでは言えませんが、少しばかりは恩返しができたのかなと思います。

最後にとっておきのこの一枚。


豚に真珠。おかんにエスカルゴ。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年7月4日木曜日

猫舌の、上を走った、うどんでやけど。

パリにはメトロの他にRERという郊外まで路線が伸びている電車があります。

(東京はややこしくてよくわからないので)大阪で例えて言うならば…

大阪市内を走る大阪市営地下鉄がメトロとして、神戸、奈良、京都まで走るJR線がRER。

僕は郊外に住んでいるので、毎日このRERに乗っているのですが、

RERには、各電車に4桁のアルファベットからなる名前が付けられているということに気づきました。

下の写真は、次に来る電車がどこの駅に停車するのかを示したボードなのですが…

ボードの左上に表示されている電車の名前をよく見てください。


「UDON」やって!!

なぜ「UDON」なのか…「うどん」が好きなフランス人が付けたのか、それとも全くの偶然なのか…

どっちでもええけど、3本に1本くらいの頻度で「UDON」が来ます。

「UDON」乗るたびに「うどん」が食いたくなります。

何を隠そう、うどんは僕が一番好きな食べ物です。

明日世界が終ろうとするならば僕はうどんを食べるし、

無人島に何か一つだけ持って行けるとするならうどんを持っていきます。

ってなことで、先日、友達のヒロ先生(現在ナイジェリアに出張中)と一緒に、

パリの「さぬきや」といううどん屋さんに行ってきました。

ちょっとわかりにくい場所にあるのに、お客さんはほとんどフランス人でした。

僕は大好きな天ぷらうどんを、ヒロ先生はしゃぶしゃぶうどんなどというハイカラなものを注文しました。

麺にコシがあって、海老もプリプリで、なかなか美味しかったです。

でもちょっと汁が熱過ぎました。

うどんが食べたい僕の口と、猫舌な僕の舌が葛藤した結果、舌をやけどしました。


ちなみに、この天ぷらうどん、一杯いくらやと思います?

15ユーロです!日本円にして約2000円!

庶民の味であるべきうどんが2000円ですよ!

このお方も怒っています。


うどん県出身のまことです。

「本物のうどん食うなら香川来てみい!」って言うてはります。

誰に言うてるんかはよくわかりませんが…。

さて、このブログにもよく登場してもらっていたカリスマ美容師のまことですが、

勤務する美容室が店をたたむことになったらしく、明日、日本へ帰国してしまいます。

僕のブログによく出てくるのは、ただ単に彼が出たがりだからですが、

仲良くしてもらっていたのでいなくなると寂しくなります。

うどんの汁のように熱く、うどんの麺のように真っ直ぐで、とにかくおもろい男でした。

最後に、全く記憶にないけど、なぜか携帯に入っていたまことの寝顔で今日はお別れです。



まこと、ありがとう!日本でまた会おう!

PS。いびきめっちゃうるさかったで。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士