2013年2月24日日曜日

あのギャグは、ツボに入らず、皮肉で笑う。

近所の駐車場にて。

また車が燃えていました(笑)




日本ではアイドルが「火遊び」して大きな騒動になっているというニュースを耳にしました。

相変わらず平和なようで安心しております。

フランス人に「規則破ったら丸刈りやからな!!」って言ったら、

たぶん全員規則を破るかと思います。

どうも山田です。

ってなわけで、僕も頭刈ってきました。

前回と同様、パリのオペラ界隈で、ちびっこからおばさままで、江戸っ子からパリジェンヌまで、

幅広い層から絶大な人気と信頼を得ておられます美容室「TAKEO FUJII」さんで、

カリスマ美容師のマコトヤマグチ氏にハサミを入れていただきました。

お陰様で、ちょっとカッコよくなりました。

そういえば、マコトヤマグチ氏から素晴らしい名言を頂いたのですが、

散髪後のシャンプーが気持ち良すぎて、何やったか忘れました(笑)

確か「記憶に残らないものは名言ではない」とかそんなんやったかと思います。




さて、昨日は、マルヌ・ラ・ヴァレ大学での第5回目の日本文化講義がありました。

今回のテーマは「日本と南米の関係について」。

これは、僕がやりたいと思ったテーマというより、

大学側からやって欲しいと要望されたテーマなのですが、

ひとつ返事でOKしたはいいものの、日本と南米の関係って言われても…

何にも知らないし、ちゃんとした講義が出来るのか不安な気持ちがありました。

ひとまず、日本とブラジルの位置関係について説明する際に、

ブラジルは日本のちょうど裏側にあるということで、

サバンナ八木さんの伝説(?)のギャグを紹介させていただきました。

「彼は日本のコメディアンで、意味不明なギャグで笑いをとるのですが、

彼のギャグの一つにこんなのがあります。

いきなり地面に向かって彼は叫びます。『ブラジルのみなさん聞こえますかー?』と。」


しーん…。


や、やばいよ。八木さん、フランスでもスベってるよ。

「ブラジル人から返事が来たことはありません。それどころか、客席からの反応もありません」

とちょっと皮肉った解説を加えると笑いが起こりました。

危ない危ない。八木さんをスベらせるところやったで。

こんな感じで、真面目な話ばかりではなく、ちょっと「笑いの要素」も入れて講義しています。

笑いのツボが違う外国人を笑わせるのは大変ですが、これも大事なことだと考えています。

たまに、「ここ笑いどころやで!」ってところで妙な空気が流れたりして凹みはしますが、

それでも思い通りにみんなが笑ってくれるとちょっと快感だったりします。


とにもかくにも、日本と南米について色々と調べていくうちに、

いくつもおもしろい話を発見でき、なかなか興味深い講義にできたのではないかと思っています。

今日は、講義でお話した中からひとつだけみなさんにもご紹介したいと思います。

最近、格差社会が問題となり、「勝ち組、負け組」という言葉を色々な場面で耳にしますよね。

実はこの言葉の本来の意味は、ブラジルにおける日系社会で出てきた言葉なんです。

戦後のブラジルにおいて、非常に「奇妙な」問題が発生しました。

「戦争で日本は米国に負けた」と考える日本人と、

「戦争で日本は米国に勝った」と主張する日本人が対立して抗争が起こったのです。

「勝ち組、負け組」というのは本来はこの出来事を指します。

これは現地での情報不足や日系人社会における政治的陰謀などが要因だったそうなのですが、

当時ブラジルにいた300万人の日本人のうちのなんと9割、つまり270万人もの現地日本人が、

日本の勝利を信じていた「勝ち組」であったというのですから驚きます。

中には、日本に帰国した際に、著しい経済発展を目にして「あぁやっぱり日本は勝ったんだ」

と思った人もいたようです。

「勝ち組、負け組」という流行語の裏にはこんな歴史があったのです。


個人的には、最近のこの「勝ち組、負け組」などといった言い方は好きではありません。

メディアは好んでこの言葉を使い、様々な場面において勝ち負けの優劣をつけて形容しますが、

これは「競争心」を煽り、「周りはどうであれ、自分がよければいい」

という思想に繋がるような気がするのです。

車に火を放って法を犯すうちの近所の荒くれ者や、火遊びで集団の規則を破る某アイドルなど、

周りのことを考えずに自分の欲に走るのではなく、

「この人をカッコよくしてあげよう」という某カリスマ美容師や、

「みんなを笑わせよう」というサバンナ八木さんのような、

周りの人を幸せにしてあげようということこそが大事なのではないかなと僕は思います。


ちなみに、この本来の意味における「勝ち組、負け組」の出来事は、

「汚れた心」(伊原剛志、常盤貴子主演)という映画になっていますので、

興味のある方はご覧になってみて下さい。




映画「汚れた心」





それではみなさま、よい週末をお迎えください。

さよなら、さよなら、さよなら(懐かしの淀川長治さん風に)。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年2月12日火曜日

冬空に、浮かぶ日を背に、カラスはどこへ。




ご覧ください、この寸止めテク!!

ドライバーの「ドヤ顔」が目に浮かびます。

(3行目にして早くも)話変わって…

先週、うちの事務所に新しい社員(男性←ここ重要)が入ってきました。

実は僕の働く事務所は常勤の社員4人、非常勤の研修生2人、みんな女性なんです。

女性に囲まれて仕事するやなんて天国やな!!と思ってたのに…

まぁそんなことよりもね、彼の名前忘れちゃってしどろもどろ(笑)

「名前なんやっけ?」と思って、でも「あの人の名前何やった?」って聞くのもあれやし…

誰かが彼を呼ぶのを待とうと思って、パソコンカチャカチャしてるフリして聞き耳立てました。

そしたら「ロマリック」って名前だとわかりました。

昼休み、ロマリックが居ない時に、研修生のマノンとモルガンが

「あのムシューの名前なんだっけ?」って言うてたから教えてあげました。

「ロマリックやで!!」って。

「ドヤ顔」で…。


あ、どうも山田です。

さて、今日は日本の「建国記念日」ですね。

そこで今日は日本の建国について話をしたいと思います。

みなさん、自分の国の建国について知っていますか?

日本の建国は今から紀元前660年まで遡ります。

つまり今日は日本の「2673歳」の誕生日となるわけです。

日本は世界中の国々の中で一番古い国で、一番の長老です。

二番目に歴史が長いデンマーク王国で約1000年、三番目のイギリス王国で946年ですから、

日本が如何に古い国なのかがわかります。

日本の建国は神武天皇が日本を統一して初代天皇として即位した日なのですが、

それが2月11日(旧暦の元旦)なのです。

もちろんこれは712年に編纂された「古事記」と、720年に編纂された「日本書記」にある

「神話」の話ですから、「事実」ではないかもしれません。

しかし、「この神話が事実かどうか」は大したことではなく、

大事なのは「日本が文字もない時代に建国されたという事実」であり、

「日本が建国以来、一度も他の民族から侵略を受けることがなかったという事実」です。

他の民族から侵略を受けなかったからこそ、古くからの伝統が今もこの国に残っているのです。

この神武天皇が、太陽神である「天照大神」という神の子孫であるということ、

現在の今上天皇が、神武天皇の末裔にあたるということは、

我々日本人は神話から繋がる「神秘的な国」に生きているということです。



さて、この神武天皇の日本統一に関して面白い話があります。

みなさん、このサッカー日本代表のエンブレムをご存知ですよね?




実はこのエンブレムがこの神武天皇の日本統一に大きく関係しているのです。

どういうことかというと…

神武天皇は日本を統一するために、日向(現在の宮崎県)を出発して東へ向かいました。

熊野国(現在の和歌山県南部および三重県南部)で道に迷われた神武天皇を

大和国(現在の奈良県)へ道案内をして、日本統一に貢献したのが

このエンブレムに描かれている「八咫烏(やたがらす)」なのです。

それ以来、八咫烏は勝利に導く鳥とされ、

現在は日本代表を勝利に導くためにそのユニフォームの胸にいているわけです。

八咫烏は足が三本ありますが、これは「天(神)、地(自然)、人」を表しているそうで、

神と自然と人が一体となっているところに日本人の持つ「自然観」を感じます。

「なるほど!」と思われた方は、さっそく隣にいる人に話してみてはいかがでしょうか。

「ドヤ顔」で…笑。


この建国の話は「日本人と自然、宗教の奇妙な関係」と題した第三回目の大学での講義でも

フランス人の学生たちにお話ししました。

世界のどこの国の人でも自分の国の建国について知っています。

フランス人なら「俺たちが革命で独裁王を処刑して自由と平等、そして友愛を手に入れたんだ」、

アメリカ人なら「俺たちが独立戦争で勝利して人民の人民による人民のための国を作ったんだ」、

ドイツ人なら「俺たちがベルリンの壁をぶっ壊して東と西を一つにしたんだ」と、

誇らしげに、熱く語るでしょう。

ところが、日本人はというと、これら外国の建国については知っていても、

自分の国の建国となると聞かれても答えられない人が少なくないと感じます。

「建国記念日」という一年に一度の機会に、日本という国がどのようにしてできたのかを考え、

日本という国に生まれ、日本人として育ったことを誇りに思うと同時に、

2600年以上もの間この国を守ってきた祖先に対して感謝の念を持つことは、

この国を守るということに繋がるのではないかと思います。

こういったことを感じられるのも、日本から離れた異国にいるからなのかもしれません。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年2月4日月曜日

福は内、外では鬼が、車を焦がす。





駅の横の駐車場で車が一台全焼していました。

顔文字で言うところの

( ゚Д゚)

こんな感じです。

やっぱりフランスはおっかないところです。

もはやこんなぐらいじゃ驚かへんくなった自分に驚いています。

ベッカムも今頃カルチャーショック受けてるんちゃうかな。

どうも山田です。


昨日、ボディソープ買うたらハンドソープでした。

全焼した車見つけた時以上に

( ゚Д゚)

でした。

ちなみに、普段は顔文字とか全く使いません(というか使い方がわからない)。

「ひょえー」って入力したら「( ゚Д゚)」←こいつが出てきました。


さて、来週の木曜日に小学校で最後の日本文化体験授業があります。

そう、もう最後なんです。

そら、子供たちも僕なんかと遊んでばっかいられへんもんね。

写真を載せられないので、小学校での授業風景はここにはあまり書けませんでしたが、

日本文化を通した授業、特に交流をする御影小学校へお贈りする作品作りをしました。

最後の授業では「お弁当作り」をするんですが、

そこで、感謝の気持ちも込めて、子供たちに手巻き寿司を振る舞おうかと思っています。

ということで、夕食を兼ねて手巻き寿司作りの練習をしてみました。




手巻き寿司作るのなんか学生時代に僕の家で手巻き寿司パーティ(通称巻きパ)した以来。

懐かしいなぁ。あの頃は授業もろくに出んとアホなことばっかしてたなぁ。

さすがに車燃やすとかはなかったけど(笑)

燃やしてたのはもっぱら青春の友情だけ。って何言うてんねん。


さて、手巻き寿司いうてもこっちじゃあんまり具材が手に入らないのですが、

サーモン(+レタス、レモン、マヨ)、ツナ(+マヨ、チーズ、レタス)の二種類を作ってみました。





形はあんまりやけど、意外に美味しかったので、調子に乗ってこれから毎晩練習します。

というか毎日食べたいだけです。毎日お寿司食べれるとか夢のようです。

そういや今日は偶然にも節分。

豆は撒かへんけど、寿司巻いたしええか。

山田君、座布団!

…って持っていくんかい( ゚Д゚)!!笑

豆がないからグリーンピース食べます。


日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2013年2月1日金曜日

お金より、心の大きさ、美しさ。


青信号が逆さになっていました。でもフランス人はそんなこと気にしません。

上を向いていようが下を向いていようが、青信号だろうが赤信号だろうが、気にしません。

僕もそんな心の大きな男になりたいと思います。

どうも山田です。


昨日、フランスにビッグニュースが飛び込んで参りました。

ベッカムがLAギャラクシー(アメリカ)からパリサンジェルマンへ移籍することが発表されたのです。


LAギャラクシーからPSGに加入したデヴィッド・ベッカム(写真:Le monde.fr)


またサッカーの話かとやれやれの人もベッカムなら読んでくれるでしょ?

どんだけお腹いっぱいご飯食べても甘いものだけは別腹でしょ?

元イングランド代表のベッカムは、マンチェスターユナイテッド、レアルマドリード、ACミランなど、

欧州のビッグクラブを渡り歩いてきたサッカー界のスーパースターです。

とはいえベッカムももう37歳。体力、技術の衰えも指摘されています。

パリサンジェルマンにとってこれがいい買い物なのか、無駄遣いなのかは、

実際にプレーを見てみないとわかりません。

スタジアムは満員になるでしょうし、ユニフォームも売れるでしょうから、

商業的には既に成功と見て間違いないかと思いますが。

僕もせっかくパリにいてるので、一度スタジアムに足を運んでみたいと思います。


さて、パリサンジェルマンとは一体どんなクラブなのか、ご紹介しましょう。

PSG(ペーエスジェー)と呼ばれるパリ・サンジェルマンは1970年に創設されたクラブで、

欧州の多くのクラブが100年近くの歴史を持つのに比べると、比較的新しいクラブです。

もともとパリにはいくつかのクラブがあったのですが、60年代にどのクラブも低迷してしまい、

60年代の終わりにはフランスの1部リーグからパリのクラブがなくなってしまいます。

そこでパリにビッグクラブ(つまり欧州一のクラブ)を作ろうという運動が起こりました。

著名人らがお金を出し合い、パリに新しいクラブが出来ました。

その新しいクラブとパリ郊外のサンジェルマン・アン・レイ市のクラブが合体して誕生したのが

パリサンジェルマンです。

パリ市内にサンジェルマン・デ・プレという地区があるため勘違いする人が多いのですが、

パリサンジェルマンのサンジェルマンは、このサンジェルマン・アン・レイのサンジェルマンです。

現在もパリサンジェルマンの練習場はこのサンジェルマン・アン・レイ市にあります。

ちなみに、1970年創設時のクラブの会長であるピエール=エチエンヌ・ギュヨ氏は、

2002年W杯で日本代表のフィリップ・トルシエ監督のアシスタントとして活躍し、

現在は日本でジャーナリストとして活動しているフローラン・ダバディのおじいちゃんです。

パリサンジェルマンはフランスリーグ2回の優勝を誇るフランスの名門クラブになりましたが、

欧州のビッグクラブからは程遠く、近年は低迷を続けていました。

ところが、2011年にカタール王族のナセル・アル・ケライフィ氏がクラブを買収すると、

潤沢な資金を駆使して次々と有名選手を獲得し、改めて欧州一のクラブを目指しています。

著名人らが資金を出し合って創設したパリサンジェルマンはそうではありませんが、

欧州のほとんどのクラブは、それぞれの自治体が創設し所有し管理してきました。

それが、最近ではお金持ちがクラブを買い、有名選手を買い漁るようになりました。

個人的には、こういったサッカー界への過剰なビジネスの介入を快くは思っていませんが、

国内リーグの人気が衰えてきているフランスサッカー界にとっては意味のあることかと思います。


ところで、ベッカムはパリサンジェルマンからの給料全額を、

恵まれない子供たちへの慈善事業に寄付することを明言しています。

顔だけちゃうんかい!!っていうツッコミが世界中から聞こえます。

完全に話が反れてしまいますが、ふと、ジェラール・ドパルデューの顔が浮かびました。

フランス映画界を代表する俳優です。


フランス映画界の重鎮ジェラール・ドパルデュー氏(写真:parismatch)


昨年、フランス政府は年収が100万€(約1億2500万円)を超える者に対し、

75%の所得税を課す方針を固めました。

これに反発したドパルデュー氏はフランス国境に近いベルギーの村に移住。

それがメディアで報じられ、「税金逃れ」「団結心の欠如」などと批判されると、

「フランス国籍を返還する」と宣言して、ベルギー国籍の取得へ動きました。

結局、富裕層に寛容な税制をとるロシア政府から招待を受け、ロシア国籍を取得しました。

日本でも最近は「勝ち組、負け組」などと格差社会が話題になったりしていますが、

欧州でのそれとは比較できないかと思います。

しかし、収入を慈善事業に充てるお金持ちがいる一方で、

国を捨ててまでもお金にしがみつくお金持ちもいるわけです。

ドパルデュー氏は「これは税金逃れの為ではなく、

才能のある成功者を罰しようとする政策に反対するため」と主張しているし、

お金持ちから税金を多くとった方がいいなどとは単純には言えませんが、

ドパルデュー氏の行動とベッカムの行動を見ると、やはりベッカムの行動に美しさを感じます。

ベッカムを動かしたのは、お金ではなく、欧州一のクラブを目指すPSGのビジョンであり、

何よりサッカーに対する情熱だったのだと思います。

人は誰もが「幸せ」を求めて生きていますが、少なくともお金で「幸せ」は買えない。

お金では買えないものが「幸せ」を作るのだと、僕は思います。


サッカーネタから政治ネタ、そして幸福論と、幅の広さを見せてみました。

ベッカムのように顔もお金も才能もないけれど、僕も心だけは美しくありたいと思います

ドパルデュー氏のように体も顔も大きくはないけれど、僕は心だけは大きくありたいと思います。



日仏交流コーディネーター
山田 剛士